昭和42年2月14日、写真提供者の父方の祖父の葬儀で撮られた写真である。
心霊写真を数多く見ている人間であれば、この写真はいわゆる“身体の一部が消失した”
というジャンルに属するものであると考えるだろう
(実際、この写真は膝から上の部分が完全に消えているが、
喪服姿の人物が写っているのは間違いないところだろう)。
だが、この写真を撮影した本人は、この写真を撮った時には誰もいなかったと証言している。
撮影時から確認まで10年ほどのブランクがあるが、
撮影者の記憶というのはよほどのことがない限り正確である
(特にこの写真の撮影者は提供者の父、つまり自分の父親の葬儀を撮ったものであるから、
記憶はかなり鮮明であるはず)。
要するに、この写真に写っている足の持ち主は生身の人間ではなく、霊である。
“幽霊に足がない”というのは絵画の影響であって、
実際には足だけ写っている心霊写真というものは数多くある。
だがこの写真の最高に不思議なところは、
葬儀の場面に合わせるかのように“喪服姿”で霊が現れている点に尽きる。
これは霊側の意図なのか、それとも偶然そのような服装に見えたものなのか、
さすがにこれは判断できない(一般的には、霊は自己主張するもの、
つまりTPOに合わせるということはあまり考えられないとされる)。
またこの足は祭壇に向かって真っ直ぐ向き合っているが、
その出現した意図も何とも量りがたい。
葬儀という特殊な空間が謎をさらに深めているという感じである。
|