十勝の女



北海道池田町の千代田堰堤で撮られた写真である。 昭和53年頃に、この堰堤沿いの国道で白いブラウス・黒いスカート姿の女幽霊が たびたび車を止めて乗り込むという事件が起こっている。 その怪事件がテレビ番組で取り上げられた際、この写真がその女性と同一であるとされ、 幽霊目撃と心霊写真とが一致する希有の実例とされていた。

この写真をテレビで取り上げた佐藤有文・宗川圓学氏のデータ情報によると、 この写真は昭和52年11月に撮られたとされているのだが、 実は中岡俊哉氏の心霊写真集にも全く同じものが掲載されている。 その発行年月日は昭和52年6月。さすがにこの食い違いを霊のせいにする訳にはいかない。 したがって、池田町で起こった幽霊騒動とこの心霊写真とを結ぶ最大の根拠に誤りがあり、 信用するに足らないという結論に達したのである。

ではこの写真に写っている着物姿の人物は誰なのか。 この女性の口元の部分ある棒状のものがマイクではないかという指摘がある。 つまりステージで歌う女性(芸者?)を写した部分が二重写しになっている可能性があるという指摘である。 だが女性の肌の色を根拠に、これが二重写しであるという論を否定したい。 やはりこの肌の色、着物の色の具合は生身の人間を写して出るような色ではないと考える。 中岡氏の鑑定にある“入水自殺した芸者の浮遊霊”というところが案外妥当な類推なのかもしれない。



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